お蚕さんの小屋掃除
2018.5.29
石徹白は、20度くらいまで上がる日が増えて、
ようやく畑も始まりました。
藍の定植も少しずつ進んでいます。
そんな中、今年から新しく始まる
郡上八幡での養蚕プロジェクトのため、
蚕小屋のお掃除とお蚕さんを受け入れる
準備に行ってきました。
2年ほど前、
郡上で最後まで養蚕をやっていた
農家さんが、養蚕を辞められました。
その後、引き継ぐ人もなく、
養蚕小屋もそのままになっていたそうです。
そんな中、これまで郡上の手仕事が好きな仲間と
やってきた「郡上手しごと会議」に、
「養蚕をやってみんか?」という話が舞い込みました。
岐阜県として養蚕文化を残していきたいと言う思いがあり、
かろうじて、今、6軒だけ、県内に農家さんが
残っているそうです。
郡上でも、ぜひ続けていければ、ということで、
私たちに話があったのです。
これまで、「糸づくり学校」で
みんなでわけあって、お蚕さんを
少しずつは育てたことがありましたが、
育てる最小の数が5000頭ということで
戸惑いました。
そんなにたくさん、育てることができるかな・・・
でも、確かに、いつかは、糸を自分たちで
とるところから、やってみたい・・・
これがタイミングなのか・・・
とはいえ、私自身は、この話があった時
三男を妊娠中で臨月に入っていて、
「やります」と簡単には言えなかった。
この話を伝えたところ、養蚕や藍の栽培を
これまで一緒にやってきた
仲間のYさんが
「私が腹をくくればできるよね」と言ってくれたのが
大きな救いでした。
彼女は、普通のお家で、何百頭のお蚕さんを
独自の方法で毎年飼ってきた人。
養蚕を中心的にやっていくことのできる
唯一の人と思えたのです。
それで、ようやく進み始めた
養蚕プロジェクトが、
6月から、具体的なスタートを切ります。
指導をしてくれるのは、
もともと、養蚕指導員をしていたSさん。
そして、お蚕さんを育てるのが好きな仲間と
シフトを組んで、桑をやるなどの
世話をしていきます。
一人では負担が大きいので
いろんな人と協力しながら・・・
先日、天皇家で、養蚕を続けられるかどうか
という話がありましたが、
雅子様が、美智子様の跡を引継ぎ
養蚕をされることになったと報道がありました。
日本の養蚕文化を途絶えさせないように、という思いは、
皇室ももちろん、
私たちのような、お蚕さん素人でも
そう感じるほど、伝統は深く、
また、お蚕さんが愛おしい存在に思えます。
糸を生産する、という産業的な側面からの理由より、
私は、より、そういう精神的なお蚕さんとの
つながりの中で、このプロジェクトが
進んでいくように思えてならないです。
いろんな道具が
この小屋には残されたままで、
それをそのまま引きついで
使わせてもらえるのは
とてもありがたいです。
そして、このプロジェクトのマネジメントは、
郡上手しごと会議のメンバーとして、
4月から、石徹白にきてくれた
ゆうみちゃんです。
彼女は、郡上カンパニーの採用で
手しごと会議に加わってくれました。
今年も、なんだか、新しいことが
続々と始まって、
何がなんだか・・・笑
とはいえ、目指している方向はぶれることなく、
ただ、その方向に進んで行っている実感はあります。
藍のお世話も、
藍の畑の管理も、
季節の草木を眺めながら染めを進めるのも
服を作ること自体も、
全て、慌ただしく、日々過ぎていくけれど、
そのプロセス自体が、大事で、
それを、この場所で、
ここにいる人たちと一緒に力を合わせて
やっていけることが幸せです。
6月4日にお蚕さんがやってきます。
どんなことになっていくのか・・・
小さな一歩を踏み出してみようと思います。
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石徹白洋品店
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© Itoshiro Yohinten.