黒染めへの挑戦
2017.6/28
昨日と今日、黒染めに挑みました。
4月にカンボジアで黒に草木を使って
染めるための研修に行ってきました。
カンボジア、クメール伝統織物研究所では、
インディアンアーモンドの枯葉を使っています。
が、日本にはないので、
私は身近にあるもので、
インディアンアーモンドの葉っぱと
似たような色を出すものを探し、
それが、くるみではないかと思っています。
同じように実をつけるものだし、
油っこい、そして、くるみは、
渋が出て来るほど強い色を持っている。
しかし、必ずしも同じように染まるとは
限りません。
植物それぞれの持つ色があり、
季節ごとに、その色も異なり、
また、その土地の土や水によっても
色は変化します。
だから、まだ未知なる世界ですが、
私は黒を、草木から出せるなら
出してみたい、と思って
今年から挑戦することにしたのです。
ううちの周りには、沢グルミがたくさん生えます。
飛び種(?)、あるいは、ネズミさんが運んだものに
よってか、敷地を見渡すと、あそこにも、あそこにも、
というふうに、生えているところを見かけます。
その一本の枝を切って、
葉っぱをたくさんいただきました。
そして、煮ること3時間ほど。
グツグツグツグツ。
濃い液ができました。
それに糸や布を泳がせて、
しっかりと色を入れていきます。
それとともに、鉄媒染を作ります。
カンボジアの森本喜久男さんに
教えていただいた作り方。
それは、鉄くずと、ピュアなお砂糖、
そして、ライム。
日本にはレモンやライムがないので
うちは、純粋なお酢を使っています。
お砂糖は沖縄土産にいただいたもの。
日本の常識的な「鉄媒染」とは
作り方も使い方も違うようですが、
(日本の常識的な方法を私は知らなくて!)
この鉄媒染は、とっても簡単だし、
身近なものででき、
色もしっかりと出てくれるので
重宝しています。
もうすこし暖かくなったら、
外で常温で作ろうと思いますが、
今はまだ寒さが残るので、
火にかけて、鉄分を煮出しています。
さて、こうして、くるみで染めた糸と
布を、鉄媒染に浸し、
その後、絞って、空気に晒し、
また、鉄媒染に浸し、
空気に晒し・・・と
繰り返すこと3回ほど。
結構な濃い色になりました!
まだ完成、となる色までは
至りませんが、
黒に近づけるために
この工程を何度か繰り返して行こうと思います。
簡単には染まらない、
草木による「黒」は、
私にとって魅力的です。
藍も大好きですが、
黒も欲しい色。
きちんと、黒を出して、
それで「たつけ」が作れたら
どんなにかっこいいものに
仕上がるだろうか!
想像しただけでドキドキしちゃいます。
くるみの葉っぱを煮出す香りで
夏の訪れを感じ、
鉄媒染の鉄っぽい香りで
染めの季節の到来を喜ぶ。
お天道様と爽やかに吹く風によって
布や糸が一層色を濃くしていく。
光と風、そして水と土に
今日も感謝して。
気がつくといつもあっという間に
過ぎ去る夏ですが、
毎日、それぞれの瞬間が
糸や布に染まり付いて、
私の一瞬一瞬を
より充実させ、
より満たしてくれることが
本当にありがたいです。
余談ですが・・・
うちの黒猫・・・
何もしていないのに
黒々とした毛・・・
いつもすごいなあ、と思って
眺めています。笑
(あ、私たちの髪の毛も!)
↑
石徹白洋品店
〒501-5231 岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
TEL:0575-86-3360
© Itoshiro Yohinten.