藍染の服と皆藤さんの手仕事
2017.7.17
おかげさまで、
藍染めの展示会が
無事に終了しました。
多くの方に足をお運びいただきました。
ありがとうございました。
展示に当たって書いた文章を
こちらにご紹介いたしますので
よろしければご覧ください。
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まさか藍染をここまで本格的に始められるとは
思っていませんでした。
いつかは・・・とは考えていましたが、
その大変さを想像すると、
踏み込む勇気はまだ湧かず。
そんな私は大きな波に乗せられ、
ここまでやってきたように思います。
2013年、中津川のしずく地藍工房の
戸塚みきさんに半年間、藍染を学びました。
種撒きからの藍染ワークショップという
タイトルで、毎年開催されているものでした。
私はここで、藍染の全貌を教えていただきました。
畑での藍の栽培から藍染を行うことが
できることも初めて知り、
そのスパンの長い作業工程の
果てしない取り組みに真摯に
向き合っている戸塚みきさんに
憧れさえ抱くようになりました。
その後、郡上手しごと会議という名前で、
郡上の仲間と共に「土から衣を生み出す」
動きをスタートしました。その仲間の一人、
前田静さんが、郡上大和で50年以上も
藍染を畑から行ってきたという
日置智夫さんを紹介してくださいました。
私は、この土地で、ここならではの
ものづくりを仲間と共にしていきたいことを
伝えると、智夫さんは快く、藍染について、
栽培について、惜しみなく教えてくださいました。
皆で始めた藍の畑。大変なことの連続ですが、
やはり、土から藍が育ち、それによって
あの素晴らしい色を染められると思うと、
心が踊ります。また、智夫さんは、
「土に触れている時に、
作りたいものが見えてくる」と
ものづくりの真髄を語られ、
石徹白に住みながらも土から
離れていた自分自身を省みるきっかけも
いただきました。
まだ蒅作りに足りるだけの収穫に
至っていませんが、来年こそは・・・
と意気込んでいます。
畑を始めた昨年、2016年の夏、
藍染を福井県大野市で30年あまり
行っている皆藤俊雄さんと
ご縁をいただきました。
皆藤さんもまた、畑での栽培から藍染を
一貫して実践されてきました。
皆藤さんも智夫さんのように、
あらゆることを、何一つ惜しむことなく、
愛情いっぱいに教えてくださいます。
どうしてこう、藍染に関わる人たちは、
愛に溢れているのでしょうか。
まだ藍染の入り口にさしかかったばかりの私ですが、
その理由が少しだけわかるように思います。
それは、いい色を出すには、愛が必要だからです。
藍は生きています。
植物の状態の時期もそうですが、それを収穫し、
乾燥させ、蒅を仕込む。蒅作りから、藍建て、
藍染まで・・・あらゆる場面で「微生物」という
生きた存在に拠った行為です。
常に藍の様子を気にして、話しかけ、
励ましていくことで、スクスクと育つ藍。
植物の藍も、甕の中の藍も、そしてきっと、
糸や布に染まり付いた藍さえ、変化していきます。
藍は生きているけれど、赤ちゃんのように、
泣いたりしません。藍にそっと寄り添い、
今、何が必要か判断し、より良い方法で
共に暮らしていくことがより良い染めに結びつくのです。
私は藍染を通じていただいたたくさんのご縁から、
本当に多くのことを学び続けています。
それは、きっと、これからも、続くことでしょう。
自然の豊かさ、厳しさ、人の優しさ、懐の深さ。
それらを受け止め、自分自身に還元し、
いつかは誰かに伝えていきたい。
藍に関わらせてもらって、
そんな広がりを感じています。
多くの人が藍を知り、藍に関わるようになると
嬉しいなと思っています。
石徹白洋品店 平野馨生里
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石徹白洋品店
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