神社での奉納
2018.6.23
白山中居神社で、お蚕さんの繭を
奉納しました。
「十人十色の糸づくり学校」で
参加者のみなさんがそれぞれの場所で
育て上げた繭を持ち寄って、
これから糸にさせていただきます、
ありがとうございます、と
ご祈祷をしました。
神職の石徹白隼人さんは
「人間は、動物・植物、あらゆる命をいただいて
生きている」というお話をされました。
ごくごく当たり前のことだと、頭で思っていたことが
こうして、神様の前で、これから糸にしていく
お蚕さんの繭を前にして聞くと、
自分自身を取り囲むすべてのものの命を
改めて感じ、この恵みに包まれていることへの
感謝と、自分自身の命をどう全うしていくかということを
考えさせられました。
草木染めに使わせてもらう
あらゆる草木花、
糸として使わせてもらう麻や綿、そしてお蚕さん。
着る物だけではなくて、
食べるもの、住んでいる家、本当にありとあらゆるものが
平等に尊い命でできていて、
私たちはそれを使わせてもらうことで
命を永らえている。
奉納した繭は、
座繰りで糸にしたものと、
真綿にして、糸を紡ぐのとあります。
今回は、真綿にして、
いろんな色で染めました。
最終的には、糸になって、一枚の布に
なりますが、それが身を包んでくれたときに、
きっと、あらゆる命の恵みをより強く
実感することになるのではないでしょうか。
郡上八幡で終盤を迎えつつある
養蚕の取り組みもそうですが、
長い長い歴史の中で、
お蚕さんとともに歩んできた「人」として
お蚕さんへの愛着が深まるのは、
理屈ではなく、もはやDNAに刻まれている
約束のような気がします。
今、県内には6軒しか養蚕農家は
残っていなくて、それをただただ続けていく必要が
あるかといえば、経済的にはとっても難しい。
それでも、私にとっては、お蚕さんを育てることは
大事なことと感じていて、それを続けるための
あらゆる環境を整えていくことが、
私の役割なんじゃないかなと思っています。
それくらい、お蚕さんといることで感じ入ることが
大きい。きっと、私にとっては、お蚕さんを
育てることも、藍染をすることも、
たつけを作ることも、平等に大切なことで、
引き継いでいくべきことで、
けれども、すでに、現実的に、現代社会において
継続することが厳しいがために、
そういったことが、消滅していったことは事実なので、
あえて、今の時代の文脈の中で、
いかに実現していくかを、読み解いて、
位置づけ直して、
進めていくか、ということを
常に考え、
実践していくのみかなと思っています。
なくなってしまったものへの
郷愁や愛着などの感情による
ボランティア活動じゃなくて、
私たちがこれからの時代に生き抜いていくための
大きなヒントを得るために、
必要なこととして、やっていくのです。
↑
石徹白洋品店
〒501-5231 岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
TEL:0575-86-3360
© Itoshiro Yohinten.