石徹白洋品店のビジョンとは(2)
2019.7.10
ビジョンを描くことの大切さを感じ、
それを実行するにあたっての経緯を
書きました。
さて本題です。
そのビジョンとは。
目指すことの大きな柱は3つです。
その一つは、
「たつけを普及する」です。
かなり明確、そしてすでに具体的に動いていることです。
たつけとは、石徹白地域に古くから伝わる
農作業着です。
はじめてたつけと出会い、
80代のおばあちゃんに
その作り方を教えてもらった時の衝撃は
今も忘れられません。
洋裁学校に通った私は、
せっかくの素晴らしい生地が
洋服を作るにあたってハギレが大量に出て
ゴミになってしまうことにジレンマを感じていました。
たつけを作る時は、そのようなことが全くなく
とても効率的に、少ない生地で
無駄が出ることなく、布を使うことができるのです。
今でも、石徹白洋品店は布がゴミになることは
ほとんどなくて、直線のハギレは保管しておいて
継ぎ合わせて使ったりしています。
(服作りをする者として、ゴミが出ないのは現代において画期的なのです!)
さらに、パズルのようにパーツを組み合わせて
できていますが、教えてもらわないと
こんな風に組み立てるのか、全くわからないような
そんな複雑な作り方。
なのですが、一度覚えると難しくなく、
暮らしの中で、家族の分をお母さんやおばあさんが
当たり前のように作ってきた服なのだと思えます。
その縫い方の技術と知恵は、
和裁の集大成とも言えるようなもので
日本人の培ってきた大切な「心」を
知ることのできるものと思っています。
私は、たつけはこういった背景があるけれど、
とにかく履きやすい、動きやすい、
締め付けがなく、気持ちがいい、
そしてシュッとしていて見た目もかっこいい、という
実用に適したものであることがもっとも重要で、
だからこそ、広めていきたいと強く思っています。
うちのお客様で、既製品のズボンが合わなくて
たつけなら楽に使える、という人が少なくないです。
私自身もそれは感じているところです。
日本人の体型に、そして、動き方に適したものとして
作り方も形も突き詰めるところまで突き詰めて
完成したのが「たつけ」なのだと思っています。
この「たつけ」を作って、広めていくのは
その素晴らしさに虜になった私にとっては
勝手に、私の使命なのかなと、思っています。
ということで、石徹白洋品店の目指すこと、
大きな柱の一つは
「たつけの普及」です。
たつけを作って、たくさんの人に使ってもらうのは
もちろんですが、
できることなら、みんな、自分で作ってもらいたい。
自分で作ると、サイズをカスタム出来るし、
何より、自分や家族が身にまとう服に
愛着を覚えて、大切にできる。
なかなか手作りするための時間を作ることが
大変な昨今、それでも、自分自身の手を動かしていきたい、
という人には、お家で作ってもらえるように
「たつけの作り方」冊子を販売することにしました。
うちの主力商品の作り方を
全てお伝えするなんて・・・と
最初は少し躊躇もありましたが、
いいものであれば広めて行きたい、
作り方を知りたい人には伝えていきたい、
という思いが強く、
今はこのような形での普及も進めていこうと思っています。
長くなりましたが、まず一つ目の柱のご紹介でした。
まだまだ続編が・・・お楽しみください!
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石徹白洋品店
〒501-5231 岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
TEL:0575-86-3360
© Itoshiro Yohinten.