民話絵本制作中。その背景にあるもの。
2019.9.18
石徹白民話絵本の第5弾、
虚空蔵菩薩に関する絵本を
製作中です。
石徹白には、歴史家と言えるくらい
たくさんの歴史的知識をお持ちの
おじいさんたちがいます。
私は、こういうおじいさんは
学者さんとか、学芸員さんとか、
そういう職業の人だと思っていました。
しかし、そうではなくて、普通のおじいさんなのです。
田畑もやるし、庭の木も管理するし、
林業の現場でも働いてきたし、
まさに、百姓的になんでもやってきた
人たちです。
そういう人たちが
ご自宅にある受け継がれてきた
古文書(のような資料)を読み解いて、
勉強を重ねて、
自分たちの解釈の上で、
文章を書いて保管されています。
私はそれが本当にすごいことだと思います。
石徹白の中で、そういう人は一人ではなくて
私が知っている限りでも複数いらっしゃいます。
(だいたいが80代の方です)
そういう文章は
だいたい、とても難しくて、
説明してもらいながら
見せてもらって、ようやくわかる、
けれど、ベースの知識がないと
なかなか難解で、
移住する前の10年前に聞いた話が
やっと、最近、わかるようになった、
ということもあります。
難しくて読みづらいんだけれど、
私はここに、とてもとても大切なことが
たくさん秘められていると思っていて、
それを絵本という形で
世に出していきたいと、
今回も絵本制作に取り組んでいます。
正しい歴史、
教科書に載っている史実、
ではなくて、
その一人のおじいさんを通して
現れてくる、歴史と今のこの石徹白を
今ここに生まれてきた子供たちに
引き継ぎたい。
私の聞き書きの先生である
澁澤寿一さんがいつも言うのは、
「地域の歴史というのは、
郷土史に載っているものだけではなくて
その文章の間にある、記されていない
そこに生きてきた人々の
喜び、楽しみ、苦しみ、悲しみ、希望などの
つみかさねであり、
それを除いては、地域を語ることはできない」
ということ。
私はそれに大きく共感しています。
まさに、石徹白は、そう言った
歴史を語る、ここでのかつての暮らしぶりを語る
おじいさん、おばあさんたちの
あらゆる感情の上で、形作られているもので、
それが現在進行形で、次の世代に継がれていくことが
この地域の継続に関わってくると思うのです。
それは難しいことではなくて、
楽しいことを一緒にして笑い合い、
美味しいお酒を一緒に飲み交わし、
辛い時は涙を流して悲しみを共有する。
その行為をともに重ねていくこと自体が
大切なプロセスであり、
ここで生きていくことの意義であると思っています。
と、長くなりましたが、
そんなことを思いながら、
絵本制作をしています。
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石徹白洋品店
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© Itoshiro Yohinten.