愛のある服
2017.5.17
こんにちは。
デザイナーの杉下です。
店主の平野さんと話す時によく出てくる言葉として
「愛のある服作り」
とか
「幸せな服作り」
というのがあります。
新しいものを作る時、新しいことをする時
この2つの言葉を体感できているか、
ここから離れていないかを話しながら、確認しながら
服作りをしています。
人によっては大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、
自分達が今心地よいか、幸せだなと思えるか。
一緒に関わって下さっている方も心地よいか
満足感、充足感があるか。誰かが辛くないか。
(メンタル的に、金銭的に全ての側面を含めて)
というとてもシンプルなことです。
とてもシンプルで根源的なことだけれど
私は東京で服作りをしていた時には
決して言えない事でした。
そんな甘っちょろい感覚で
人を感動させる物が作れるはずがない
もっともがいて苦しんで作らないと面白くない。
価値が無い。
と思っていました。
これは、私に限らず
服作りをしている人にとって
マジョリティな感覚だったと思います。
コムデギャルソンとかヨウジヤマモトの影響も大きいと思います。
80年代の思想をずっと受け継いでいて。
どれだけストイックになれるか
幸せだったら表現する理由がない。
という考え方。
それがかっこよかった。
私は今でもギャルソンもヨウジも大好きで、
ストイックな世界観に今も感銘を受けます。
でも、そのスタンスで私が物作りをしようと思うと
苦しい。
私にとっては古い自分に戻るような感じ。
これは、コムデギャルソンの時代が終わった
みたいなこととは全く別の事です。
よくファッションの批評で
「◯◯の時代は終わった」という表現があるけど、
私はあまりその言葉が好きじゃないです。
私は闇を昇華させて生み出されるような服作りも面白いと思うし
世界のバランスとして、あったら素敵だと思う。
クリエイションはそれ自体がポジティブな行為であって
今も新しいものを生み出し続けている人達に対して
終わったなんて誰が言えようか!
と思ったりします。
ただ、好みが違うだけです。
今は、苦しくないと、不幸でないと
クリエイションは面白くないという
思い込みから抜け出して
豊かで幸せであるところから
より面白いものが生み出せるという
世界に自分を置いて、
何かを作りたいと思っています。
幸せな服作りによって、
石徹白で作られた服たちの心地よさが伝わりますように。
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石徹白洋品店
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© Itoshiro Yohinten.