夏至の日に
2018.6.21
日の長い1日でした。
夕ご飯を食べたら、すぐにお風呂に入って寝る、
というのが、子供たちとの日課ですが、
今日は珍しく散歩に出かけました。
日が長くて、空の雲が美しくて、
外に出たくなりました。
今日も1日藍染をして、体は結構疲れていたけれど、
どうしても空を見上げたかったのです。
昨日、大切な方が亡くなりました。
本当は神社まで行きたかったけど、子供たち三人を連れて
行ける気がしなくて、せめて、この石徹白の空を仰いで
彼女の冥福をお祈りしたいと思いました。
彼女は、私が藍染を始めるきっかけを与えてくれた人です。
彼女は、私に染め織りの楽しさを教えてくれた人です。
彼女は、私が藍染を畑から、蒅作りから、これから続けていく
大きな理由を作ってくれました。
何より、仲間と楽しく染めたり、織ったり、
美味しいご飯を食べて、笑って、喜びや、
時には悲しみをも共有して・・・
郡上手しごと会議の活動をより彩りあるものに、
鮮やかなものに、愉しくて、愛着あるものに
してくれた。大きな存在だった。
闘病しながらも、「機嫌のいいことやっていたら元気なの」と
次々に素晴らしいさをり織りの作品を仕上げてくださって、
私は、彼女はこのまま、いつまでも、きっと機嫌よく
織り続けてくださるに違いないと思いこんで
彼女に織ってもらうための糸を、ただただ染めていました。
そして、みんなで栽培した藍の葉っぱを蒅にして、
それによって藍を建てる。
その甕の中で一番最初に染めてもらいますから、と
彼女との約束をただただ守るために、
これまでの時間を過ごしてきたのです。
ようやく、郡上の仲間と一緒に栽培してきた葉っぱが
100キロを超えて、蒅を仕込める段階になり、
今年仕込んで、来年こそは・・・と、
どんな色が出るんだろうと、
ドキドキワクワクしていたのです。
それなのに、もう、彼女はいなくなってしまった。
私が今こうして藍染できるのも、
蒅を仕込もうと、素人ながら畑ができるのも
彼女のおかげなのに、
私は彼女のために、何もできぬまま
別れなければならないことが悔しくて寂しくて
悲しくて仕方ありません。
人の命に限りがあることは
いつもわかっているはずだけれど、
その時がきた時に覚悟ができていないということは
本当の意味では、わかっていないのかもしれません。
周りの草木花は一年ごとに命の生まれ変わりがあり、
その芽吹きの美しさ、熟した時の深み、
そして枯れて朽ちて、次の命の準備をしていくという
潔い営みがある。
その中から様々な色を、布に移していただく。
まさに命の恵みが色となる。
彼女と今のこの時に出会えて、
一緒にしてきたすべてのことに
心から、大きなご縁を感じています。
長男も次男も、彼女のコロッケが大好きだった。
心の栄養をいっぱいくれた。
もう、なにを書けばいいか、
何を思えばいいかわからないくらい、
寂しさは募りますが、
彼女にいただいたすべてのご縁を
私はただただ継いでいこうと思います。
また会える時がくるかしら。
大好きな静さんへ。
心より感謝を込めて。
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石徹白洋品店
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© Itoshiro Yohinten.