お蚕さんから布までを石徹白で(2)
2019.7.3
今回は50粒を試みて、
そのあと、30粒に落ち着きました。
玉小石の糸ですが、現行のF1品種とは
比べものにならないくらい柔らかくてしなやか。
そして、セリシンが少ないのか
精錬していなくてもふわふわしています。
玉小石のような原種は、繭が小さくて
F1のものより取れる糸が3分の1から5分の1ほど。
効率化を考えると、量の面では全く
効率的ではありません。
けれども、30粒で引いていて、ストレスない。
きれない、そして、できた糸の質がいい。
これが、原種の強みなのだなあと
やっていて初めて感じました。
機織りのための糸の準備が進んでいきます。
育てる時も、玉小石は手間が少ないです。
桑を食べる量も少ないし、
さらに、死んでしまう数も少ない。
その上、蛾に返して、卵をとると、
次の代、その次の代まで命をつなぐことができるもの。
そこが一番大きいと思います。
お野菜の種もそうなりつつありますが、
1代で命が終わってしまうものではなくて
ずっとこれからもつながっていくものに
大切な価値があると思うのです。
初めて、生糸(精錬していない糸)の
整経をしています。
(手が青いのは藍染のお手伝いをしたから・・・)
思ったよりゴワゴワせず、
しかも糸が切れることもなく
想像以上にスムーズです。
これは試し織りなので
いろんな糸をヨコ糸にしながら
織っています。
このあと、さらに新しく糸をたてて
本番の織りに進んでいます。
実際に、どこまでできるか・・・と
思っていたこのプロジェクトですが、
矢沢さんのこれまでの経験と技術によって
1ヶ月半の間に、お蚕さんから布までが
達成されつつあり、嬉しいばかりです!!
土から布・・・とは理想的で
語るのは簡単だけれど
実際にやるのは難しい、手間がかかる、時間がかかる。
遠い気持ちになるのだけれど、
100年も前じゃない昔の人々は
当たり前のようにやってきたことで、
私たちに不可能ではないはず・・・と取り組んでみました。
不可能ではなかった・・・
けれど、昔と異なる時代背景の中で
彼らが暮らしの中でやってきた布作りの意味とは
また異なる意味を見出しているように思います。
いや、今の時代だからこそ、異なる視点から
意味づけをすることが求められているように思うのです。
私たちの積み重ねられてきたDNAに訴えられている
そんな気持ちがしています。
引き続き、プロジェクトは続きます。
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石徹白洋品店
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