お蚕さんから布までを石徹白で⑴
2019.7.2
6月半ばから7月頭にかけて、
石徹白洋品店が今年初めて取り組んでいるプロジェクトがあります。
それは、原種のお蚕さん「玉小石」を育てて、
それを糸にして、布にまでする・・・という
土から布を生み出すことです。
私が勝手に同志と思っている仲間の一人、
矢沢由紀子さんに石徹白に滞在してもらって、
このプロジェクトを進めています。
そもそも、土から布を作ることは
カンボジアで伝統織物を復活された
森本喜久男さんから学んだことです。
ものが作られる背景がわかり辛くなっている中で、
カンボジアのクメール伝統織物研究所(IKTT)では、
まさに養蚕から草木染め、機織りまで行っていて、
そこで、現地の人々は誇りを持って
自らの伝統的織物を生み出し、暮らしの糧、
生きる心の糧にしています。(ここ、とても大事)
そこの村の雰囲気が、とても素敵です。
みんな幸せそう、そして作っているものにプライドがある。
子供をハンモックに寝かせて揺らしながら
機織りをしているお母さん、
牛や鶏があるきまわるところで、子供達が遊んでいる。
その中で工房があり、染め材を育てる森がある。
職場と暮らしの場が同じで
全てが一体となり溶け合っている。
私はここで「圧倒的な幸せ」を感じました。
私はこの幸せ感を、石徹白で実現したくて、
森本さんから学んだことを実践しようと、
今、ここで、できることを進めているつもりです。
矢沢さんも、森本さんをカンボジアに訪ね、
原種のお蚕さんを育てている現場を見て、
そのしなやかな糸の風合いは、品種改良されたF1のお蚕さんにはない
素晴らしさを感じたそうです。
そしていつか、原種を飼って糸を引きたいと・・・
私と矢沢さんの目指す大きな方向性は一緒で、
やれることもお互いにあります。
今回、期間限定ではありますが、彼女の力をもらって、
原種のお蚕さんから、布にまで・・・まずはしていきたいと考えています。
今年は少しだけ育てました。
桑の木を植えて来年はもう少し多くしたいです。
原種のお蚕さんは小さいので、
繭を作る「まぶし」という道具も
小さめなものを自作。
それに繭を作りつつあるお蚕さんたち。
とても可愛らしいです。
こうしてできた繭を、
石徹白の白山中居神社に奉納して、
命をいただくことに感謝をします。
そう、シルクはお蚕さんの命から
できています。
短かにシルクの商品はたくさんありますが、
そんなこと考えることも少ないですね。
あらゆる命の恵みをいただいていることに
感謝していたいです。
そんな当たり前のことを学ぶ、知ることを
大切にしていきたいです。
さて、この取り組みの続きは、
また今度、書きます!
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石徹白洋品店
〒501-5231 岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18
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© Itoshiro Yohinten.